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阿部司 ·日本維新の会

衆議院本会議(2026-07-15)での発言

第221回国会 ·第第32号号 ·2,607字
○阿部司君 日本維新の会の阿部司です。  私は、与党を代表し、ただいま議題となりました国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)  本法案は、災害対策の法案であることにとどまらず、この国の形そのものを問い直す、統治機構の改革を目指すものであります。  明治この方、我が国は、東京という一つの極に政治も行政も経済も集めてまいりました。都市に人と産業が集まれば生産性が高まる。経済学でいう集積の経済であり、東京の集積が戦後の成長を力強く支えてきたことは疑いようもありません。東京は、我が国が誇る世界有数の都市であります。  しかし、集積には最適な規模があるとされています。一つの極に集まり過ぎれば、やがて過密による費用が便益を上回ります。東京は、まさにその段階に差しかかりつつあります。そして何より、国家中枢の一点集中は、危機管理上、看過し難いリスクをはらんでおります。  政府の地震調査委員会は、首都直下地震の発生確率を、今後三十年以内に七割程度と見積もっています。富士山の噴火もまた、遠い先の話ではありません。百年前の関東大震災は、首相不在という政治空白のさなかにこの都を襲い、官庁は焼け、記録は失われ、情報の途絶が人々を不安の底に沈めました。次にその日が来たとき、なお中枢の全てが東京にあったならば、この国は一度の災害で立ち上がる足場さえ失いかねません。  ただ祈るのではなく備える、間に合ううちに備える、それこそが国民の生命と財産を託された私たち国会の責務ではないでしょうか。  本法案は、この備えを国の形として法律に刻もうとするものです。首都中枢機能の全部又は大部分を代替する副首都を法律に位置づけ、内閣総理大臣がこれを指定することとされています。内閣には総理を本部長とする推進本部が置かれ、令和十三年三月末までを集中推進期間として整備を進めることとされています。また、東京都制がしかれた昭和十八年以来、八十年を超えて、幾度も議論されながらついに変わることのなかった、この国の中枢の在り方に正面から向き合うものであります。  そして、本法案は、いま一つの目的を掲げています。第一条に明記された多極分散型経済圏の形成を通じた我が国経済の成長です。危機管理と経済成長、この二つは切り離すことはできません。平時から経済の中核として栄え、そして、人と企業が現に集まっている都市であってこそ、有事にその機能を確かに引き受けることができます。この二つを一体のものとして追求する点にこそ、本法案の眼目があると考えております。  その上で、本法案がもたらす意義を三点申し上げます。  第一に、地方分権の実践です。  本法案では、副首都の指定は、道府県が自ら手を挙げ、議会の議決を経て申し出るところから始まる仕組みとされています。第十八条です。そして、第二十条では、整備方針の策定に当たり、その地域を代表する知事の意見を聞き、それを尊重することとされています。国が号令をかけるのではなく、手を挙げた地域と国とが共につくり上げていく仕組みです。この分権の理念こそ、本法案の底に流れる思想であります。  第二に、国土全体の成長力の底上げです。  本法案の第二条第五項では、多極分散型経済圏の形成が、人口及び経済に関する機能が特定の圏域に過度に集中することなく国土全体にわたり適正に配置され、それぞれの圏域が有機的に連携しつつその特性を生かして発展している国土を形成することと定義されています。  一つの極が全てを吸い上げる国土から、幾つもの極が互いの特性を生かして支え合う国土へ。まず、副首都という第二の極を打ち立て、そこに生まれた人と投資の流れを各地の中核都市へと広げていく。極が増えれば競争が生まれ、地域はそれぞれの強みを磨きます。その総和がこの国全体の成長力となります。第三条第六項には、副首都の区域における産業競争力の強化、経済活動の拠点の形成、そして圏域内の他の地方公共団体との連携が掲げられています。副首都は、自らが栄えるためでなく、圏域を、ひいては国土全体を引き上げるために置かれるものです。  第三に、人口減少という我が国最大の課題への処方箋であります。  人口が減り続けるこの国で、なぜ機能を分散させるのか、限られたパイの奪い合いではないかとの問いもあります。しかし、事実は逆だと考えております。  東京都の合計特殊出生率は全国で最も低い水準にあります。住宅費は高く、通勤時間は長く、若い世代が家庭を持ち子を育てることが最も難しい環境がそこにはあります。その東京へ地方の若者が毎年集まり続けている。出生率の最も低い場所に子を産み育てるはずの世代が引き寄せられていく。この構造こそが、我が国の少子化を静かに、しかし確実に加速させてきたのではないでしょうか。  学ぶ場があり、働く場があり、暮らしを立てられる。地方に副首都という核が生まれ、そうした環境が育てば、若者は生まれ育った地域で働き、家庭を築くという選択肢を手にできます。人口減少は、集中によって加速し、分散によって和らぐ。副首都の整備とは、この国の人口構造そのものに働きかけようとする試みであります。  結びに申し上げます。  我が国の統治機構の改革については、国会で幾度も議論されてきました。しかし、語られては消え、掲げられては先送りされ、ついに実を結ぶことのないまま今日まで至っております。しかし、八十年もの止まっていた針が今再び時を刻み始めようとしております。皆様、この国の形を変えるその確かな第一歩を、私たちの手で踏み出そうではありませんか。  私たちが今日投じる一票は、次の世代がどこで学び、どこで働き、どこで家庭を築くのか、その選び取れる未来の幅を決めることになります。政治も行政も経済も、東京という一本の柱だけで支えたまま手渡すのか、それとも、幾つもの極が輝き、どこに生まれても志を遂げられる、しなやかで強靱な国を手渡すのか、今、その問いに答えを出すときが来ました。  本法案が我が国の未来を切り開く礎となることを確信し、皆様の御賛同を心よりお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。  ありがとうございました。(拍手)

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