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加藤泰浩 ·東京大学大学院工学系研究科研究科長・工学部長/同研究科システム創成学専攻教授

参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会(2026-03-11)での発言

第221回国会 ·第第1号号 ·8,012字
○参考人(加藤泰浩君) ただいま御紹介いただきました東京大学大学院工学系研究科長・工学部長をやっております加藤でございます。  本日、私は、エネルギーに関係するところとして、今私たちが見付けている南鳥島周辺海域の資源について先生方にお話をさせていただきたいと思います。  私は投影はしません。先生方のお手元の資料、ページ番号を言いますので、御覧いただければと思います。  まず、一枚めくっていただいて二ページを御覧ください。  二ページに、御存じのように、中国はレアアースを使ってアメリカ、ヨーロッパ、日本にすごい圧力を掛けてきております。下に書いてある、赤字の、中国の規制強化に対し、世界中で新たな調達先の確保が急務になっていると。右下をちょっと御覧いただいて、これレアアースの輸入規制、これは日本にとっては輸入ですが、中国が輸出規制をした場合に経済損失が見積もられております。これは四半期で六千六百億円、一年間でいうと二兆六千四百億円の損失を被るということが言われております。  次のページ、三ページ目を御覧ください。  そうした中、こういう問題を、経済安全保障を達成するために何をすればいいかと。私たちが南鳥島で二つの資源を見付けております。ここにあえて東大チームが発見というふうに書かせていただきました。私たちは研究者です。研究者は発見ということを最も重視しますので、時々報道で東大とJAMSTECが発見とかいうふうに言われるんですが、これは東大チームが発見したということをあえてここで強調させていただきます。左側がレアアース泥という資源、それから右側がマンガンノジュール、これを後ほど細かくお話をさせていただきます。  次のページ、四ページを御覧ください。  まずはレアアースですが、まずこのレアアースというものが、左上に書かれているように、LED、燃料電池、電気自動車など、基本的にはエネルギーに関わる低環境負荷の社会をつくる上で非常に重要な資源です。  その下にピンクで囲っているところに、このレアアースの原料、日本は主に中国から年間八百六十億円輸入しております。これを使って産業規模としてどういったハイテク産業に関わるかというと、それが四百倍の関連ハイテク産業になると、年間三十四・五兆円で、GDPの六%に相当するということが言われております。  右側を御覧ください。  レアアースの資源問題、二つ重要な問題があります。一つが、中国は独占しているわけですが、生産自体は六九%、ただし、精錬という過程を経て金属とか酸化物で出してくる場合には九一%が独占されている、こういう状況になっております。  そして、その下に書いてあるもう一つの大きな問題は環境問題です。これは、レアアースの陸上の鉱山というのは開発するときに環境負荷が非常に高い。特にトリウム、ウランを伴うということが、そういうデメリットがあって、このために最終的には廃棄物の、放射性廃棄物の処分の問題が起こってしまって、これがいろんな国でなかなかできない。中国でなぜ独占的にやっているかというと、それは単純です。中国の環境基準があるところ緩いということを反映して、そういうことになっております。  五ページ目を御覧ください。五ページに最近の中国の動きをまとめております。  左側、中国は、南鳥島を中心にした我が国の排他的経済水域、EEZといいますが、そのEEZ、半径三百七十キロの範囲をEEZといいます、その外側は全て公海上です、公海上において、今中国は非常に盛んに調査をしています。海洋調査をして資源の探査をやっているんですね、公海上で次々に。  それが、ちょっとその下に全人代のニュース、つい最近、五日ほど前ですかね、全人代が中国で行われていて、そのときに言われたことが、超深海での資源開発などを挙げ、日米欧が連携するレアアースのサプライチェーン構築に対抗する狙いも透けると。これ、日経の記事を付けさせていただきました。こういったことが言われております。  右側は、一昨年十二月一日に、これは読売新聞のスクープですが、中国は南鳥島の排他的経済水域のすぐ南側でマンガンノジュールの採鉱試験をやると。これを国際海底機構に申請をして承認されております。まだ、現在三月時点、今日までまだ実施はされておりませんが、これは近々必ず起こることと思っております。私たちの、私の懸念としては、下に赤字で囲っています、南鳥島近海の公海上の資源は中国に先に開発されてしまう可能性があるというふうに懸念をしております。  次のページを御覧ください。  六ページ目、ここからが、私たちが、じゃ、何を見付けたかというと、二〇一一年、左側ですね、私たちは、太平洋のタヒチの東側の海域、ハワイの周辺海域でレアアースを豊富に含む泥を見付けました。レアアース泥というふうに名前を付けて、イギリスのネイチャーの、ネイチャーという雑誌があります、ネイチャーの姉妹誌に我々が論文を発表した。それは、中国で取っているものの二倍から五倍ぐらいのレアアースの濃度の泥が、タヒチでは十メートルぐらい、ハワイの周辺では七十メートルという厚みで積もっているということを発表して、非常に大きくハイライトされました。  その下側に、この泥の資源の長所を青書きのところでお示ししております。一番、含有量が高い。二番、資源量が豊富。三番、資源の探査が非常に簡単にできる、これ地層なんで簡単にできると。四番が、レアアースの抽出が非常に容易にできる。そして、一番大きなポイントが五番です。トリウム、ウランなどの放射性元素を含まない非常にクリーンな資源ということで、大いに期待がされているわけです。  右側を御覧ください。  二〇一二年に私たちが、じゃ、これ日本のEEZ内にないかというと、そうではなくて、これ南鳥島EEZにあるということを二〇一二年に発表しました。これは実は、私の研究室の学生の卒論の成果なんですね。こういう形で私たちが南鳥島にもあるということを発表して、これで大きく国も動くようになりました。  七ページ目を御覧ください。  二〇一三年になって、ここからは私たちはJAMSTECと一緒にやらせていただきました。JAMSTECに船を出してもらって、実際に南鳥島の排他的経済水域で調査を行いました。そこでいきなり非常にすばらしいものを見付けることができた。  ちょっと先ほど言い忘れましたが、ハワイとかタヒチで、私たちが最初に二〇一一年に論文書いたときのレアアースの濃度というのは大体一〇〇〇ppm、〇・一%含んでいるものが資源になり得るということで発表したわけですが、二〇一三年に我々が調査したところ、七〇〇〇ppmの泥があると。海底面から下に三メートルというところにピークが描かれておりますが、ここに非常に濃度の高いものがあって、それは中国の二十倍。さらに、その中に、何でそんなに濃度が高いかという写真をお示ししていますが、魚の歯や骨がいっぱい入っているんですね。この魚の歯や骨に大体一万から二万ppm、信じられない濃度の、中国の七十倍になります、そういった濃度のものが入っているから、これだけ濃度が高いと。  ただし、一つだけ注意しなければいけないのは、海底面から三メートルにいいものがあるんですが、海底面そのものは水深は五千五百メートルです。そこをどうやってクリアするかというのは後でお話をします。  その右側に書いてありますが、じゃ、これ資源の量としてどのくらい見積もれるかというと、ここからは私たちが独壇場ですが、南鳥島の、そこに赤囲みしていますが、ちょっと分かりづらいかもしれません、EEZのこれ僅か一%です。その一%だけでレアアースの資源量が千六百万トンあることを確認しております。これは今の世界の埋蔵量の第三位に相当する。たった一%の面積で第三位になるということは、南鳥島全体まだまだいっぱいありますから、これは中国をぶち抜いて圧倒的な世界一であるというふうに私たちは見積もっております。こういった非常に有望な資源があるということでございます。  次のページを御覧ください。  先ほど水深が五千五百メートルというお話をしました。じゃ、こういった資源をどうやって引き揚げるのかということに関して私たちはどう考えているかというと、エアリフトという方式を使うと。これは、今深海の石油というのは全てエアリフトで開発されています。後ほどちょっと出てきますが、これは非常に簡単です。泥と海水が混ざったスラリーに、それに管の中でほかの補助管から圧縮空気を送り込んで浮力を与えて上に引き揚げるという、そういう非常に簡単なシステムです。  これ自体はもう海底石油開発で長年使われている実績のある技術で、産業化規模へのスケールアップも可能で、何よりも私たちが提案しているのは、これは日米欧で、まず、石油の資源開発というのはヨーロッパ、アメリカがずうっと数十年来やってきたことなんですね。その技術を使わない手はないだろうと。私たちは、そういったアメリカとヨーロッパと組むことで非常に効率的に資源開発ができるのではなかろうかと考えております。  右側に、二〇一六年に、資源エネルギー庁、JOGMECの報告書を付けております。このときもエアリフトを検討して、最適と考えられる生産システムの中にそれが組み込まれています。このときの報告書の一番重要なポイントは、産業化するためには最低でも乾燥重量で一日三千五百トン取らないと経済的にはいけないという、揚泥が必要であるということが言われました。それは後でお話しします。  九ページ目を御覧ください。  まず、エアリフトを左側にまとめております。これ今、水深が二千メートルぐらいのところでの石油の開発というのは全てこれで行われております。  それが、右側、二〇二二年に、オールシーズ、それからディープ・リーチ・テクノロジー、これはヨーロッパとアメリカの企業ですが、この企業が連携して、ハワイ沖で水深四千三百メートルから一日当たりマンガンノジュールを二千トン揚げています。これを、このシステムと全く同じものを、私たちは、後で触れますが、この二社と連携を既にしております、これを南鳥島で展開すれば非常に早く資源の開発ができるのではなかろうかというので、下に書いてあります、エアリフトというのは様々な海底資源の開発に適用されておりますので、これを使うのがいいだろうというふうに考えております。  十ページ目を御覧ください。十ページ目、ちょっとビジーな図になっております。  精錬というものが非常に重要だというお話をさせていただきましたが、下だけ御覧ください。赤字で囲っているところ、一九六〇年代から日本がレアアースの精錬やメタル化技術をリードしていました、世界の中で。ところが、そういう技術が一部中国に流出するようなこともあって、一九七五年以降、精錬も中国で実施されるようになって、安値攻勢で次々に日本の精錬事業が縮小するという歴史を経てきました。  十一ページ目。  では、そういった技術はもう日本にないかというと、そういうことではありません。  これは、また下を見ていただきたいと思います。国内事業は縮小傾向だが、技術や設備はまだ残っております。設備投資すればレアアース泥の精錬は十分に可能です。その下、設計者や技術者の多くは定年を迎えつつあり、このままでは確実に貴重な技術が失われてしまいます。一度失われた技術の復活は難しい。まさに今がラストチャンス、ラストミニッツだというふうに先生方に是非考えていただければと思います。  十二ページ目を御覧ください。経済性評価。じゃ、こういったものの資源の開発が経済性があるかということに関してまとめたものでございます。  これはもうはっきり言って、どういう価格帯になっても経済性はあるというふうに私たちは踏んでおります。よく経済性について、海の底から引き揚げるなんて経済性は絶対無理だよとかいう、そういう先生がいるんですが、全くそういうのは当てにならないと考えていただいた方がいいかと思います。それは、計算しないと駄目なんですね。これ、十分に計算して私たちはこれを見積もっております。なおかつ、さらに、海外の企業も独立でやっていて、計算していて、十分に出るということは確認をしております。  ただし、もし経済性があって、この資源を開発すると何が起こるかというと、右下です。  これは、昔、アメリカのマウンテンパスという鉱山、一九八〇年代まで世界の六〇%のレアアースを生産していた大鉱山ですが、中国によって潰されました。それは、ダンピングによって二〇〇二年に閉山に追い込まれるということを経験しています。中国は、これは基本的にはマーケットを支配していますから、ダンピングをして価格を下げるということを当然やってきます。それを覚悟した上で、じゃ、どうするか。  十三ページ目に、私たちは、国としてどうするのがいいかということに関して、支援の必要性として、まず設備投資、CAPEXの方は非常に、ある程度充実しています、国の支援は充実している。ただし、先ほど言いましたレアアースの設備の投資のところは、これは十分にサポートをしていただきたいなと思っています。  問題はその下なんですね、OPEXです。OPEXというのは事業運営費。毎年どのくらい、ある意味では、支援をしていかないと中国のダンピングによって潰されるということが見込まれる。今、アメリカでは中国市場の二倍で保証したりとか、あるいは最低価格制度がヨーロッパとか日本を含めて協議されつつあります。下に書いてあるように、重要鉱物の価格保証について新しい施策が必要だと考えております。  十四ページ目を御覧ください。一例として、私たちはこういうやり方が効果的ではないかというのをお示ししています。  これは、OPEXの支援としては差額補填型の支援をすべきだと、左側、①と書いてあるところに説明しています。基準価格に対して、そこから輸入価格、これは中国から見ると輸出価格ですが、それをどんどん下げられていったらその差額だけを補填しようと、それで収入を下支えしてあげることでうまくいくと考えています。  一例として、今私たち、年間、先ほど言いました一日三千五百トン、レアアースの泥を開発した場合に、実は国内需要の三〇%を満たすことができます。七〇%は中国から輸入すること、主にですね、を前提とした場合に、もし中国がダンピングをしてきたときに何が起こるかというのを二番目に書いております。ダンピングに対する差額補填として、例えば中国が三〇%価格を下げたら年間百五十二億円投入すればいい。それから、五〇%、半額にしてきたら二百八十一億円補填すれば済むと。これは、年間、先ほどの損失が二・六兆円見込まれているものに対して、僅か一%未満です。これをやれば、差額補填によって産業へのダメージを大幅に軽減できます。これ、中国がダンピングした場合には、中国はある意味では、我々にとっては輸入分ですが、七〇%実は私たちは安く買うことができます、下げてしまうわけですから。  そうすると、そこに、下に書いてあります差額補填と安値で購入したときのプラマイでいうと、日本にとってはこれ実はメリットがあるんですね。ダンピングはむしろ中国から安く買える好機と書いてありますが、こういう駆け引きをやっていくためには国産のレアアースを出すことが最も重要であると。出すことができれば、経済安全保障と産業振興を両立することができます。  十五ページ目を御覧ください。  もう一つの資源であるマンガンノジュールです。これはバッテリーメタル、リチウムイオンバッテリー、電気自動車、そういったものに軒並み入るものですが、そこに使われるコバルト、ニッケルの資源として物すごく重要なものですが、私たちは一昨年、日本財団の支援を受けて南鳥島で探査をして、南鳥島EEZ全体の二%だけでも日本の必要量、コバルトの場合七十五年分あるとかいう、そういうことを確認しております。EEZ全体でいえば、当然これの五倍、十倍は十分にあるというものであります。  十六ページ目を御覧ください。  ちょっと時間が押してきましたので、十六ページ目に書いてあります、私たちは日本財団に更に支援をいただいて、先ほど言ったオールシーズ、それからディープ・リーチ・テクノロジーと既に連携して資源の揚鉱試験を計画をしております。これは、数量は言えませんが、一日かなりの量を揚げることをプランとして持っております。  これは、環境インパクト試験というふうに名前を付けていますが、資源を開発したときに環境にどういう影響があるかをしっかり見積もりましょうという、これは日本財団としての、財団さんとしての方針としてそれをしっかりやろうと、私たちもそう考えておりますので、それをやると。先ほど言ったように、この二社と連携することによって技術、環境面での実現可能性を示して、国内での海底資源開発の機運を高めていきたいというふうに考えております。  十七ページ目を御覧ください。  これは、今世界で何が起こっているか。公海上の資源については非常に今世界はもめています。フランスはモラトリアムといって資源開発を先送りにしようと。それに対してノルウェーとかは、いや、いち早く開発すべきだということを言って、ヨーロッパでまずもめている。国際的な、国際海底機構の公海上での鉱業規則の合意に今至っていません。非常にもめている。  でも、このもめているときが実は日本にとってはチャンスなんですね。何でか。日本はEEZに有望な資源を持っていて、公海上のルールに必ずしも縛られる必要はありません。ですので、海外のさっき言った二社が何で我々と組みたがっているかと、非常に単純です。EEZに非常にいい資源を持っているところと組みたいということでございます。  十八ページ目、最後のページを御覧ください。  これは、私たちはどうすべきかということに関して、まず一番目が、アメリカ、ヨーロッパなど海外企業と組んで、その技術を使って採鉱、揚鉱をすべきだというふうにまず考えている。ただし、これは企業体としてやるときには日本主導のジョイントベンチャーなんかをつくって採鉱、揚鉱しますので、イニシアティブは日本が渡さないということを我々としては考えております。  二番目が重要なんですね。精錬です。精錬のところをかませて、今も日本は精錬技術を持っています、ここをかますことができることで、日本がまさにサプライチェーンのど真ん中で活躍することができると。  もちろん、その三番目、最終的にはそれをハイテク産業に供給することによって物づくりを復活させるということで、下を御覧ください、南鳥島EEZの開発で、日本がレアアースサプライチェーンの中核になれる。それから、日米欧連携により、環境保護を名目とした反対にも、かわすときに、日本一国でかわすというのはなかなか難しい、国際連携の中でアメリカ、ヨーロッパと組んだ方がはるかに効果的にうまく対応することができると考えていて、そういう意味では、日米欧の連携でやるべきというのが私の考えでございます。  どうも済みません、ありがとうございました。

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