○参考人(筒井淳也君) 賃金率を上げるというのをいわゆる政治主導で行うということは、あり得なくはないですよね。
ただ、基本的には、やはりその民間企業の意思決定の範囲内でやると。特にやっぱり労働者の間の、雇用されている方の間の声を強くする仕組みをバックアップしていくというのが王道であるというのは、これはもう世界各国共通の認識かなというふうに思います。
ですので、その仕組みづくりですね、これなかなか、その日本独特の雇用システムにマッチした今労働組合の形態になっていますので、そこをどういうふうに変えていくのかというのは比較的長期的な議論しかできないというところがあります。ですので、賃金を上げていくということに関しては、即効性のない議論というのはやりにくいのは確かだと思います。ただ、やはりそこで比較的介入しやすいのが最低賃金、まあこれは間違いないと思います。
もう一つは、やはりおっしゃっていただいたように、働き方改革が実入りの減少につながってしまうというのがよく見られる現象です。中には、その経営者の方が、うちは働き方改革やるぞということで人件費を減らしたいという、背後にある理由が実はある、潜んでいることさえあると思いますよね。
ただ、そういった動きに関して、もちろん見えやすくするという、経営の在り方を見えやすくするというような仕組みづくりもあるんですけど、一つは、やはり男女賃金格差の縮小とか共働きのしやすさですよね、こちらの方にも重点を当てる必要がある。要するに、若干労働時間が短くなってしまえば、当然その給料が下がるというのは傾向として圧力掛かるのは当然なんですけど、これが夫、妻共に同等に働けるようになれば、例えば男性一人が八百万円を稼ぐより、四百万、四百万という、こちらの方が実は税金のことを考えると若干実入りが増えるぐらいなんですよね。
ただ、それは要するに、所得を下げる余地があるとかそういう議論をしたいのではなくて、共働きによって世帯所得を増やす方策ですよね、こういった道筋もあります。ただ、それでも、日本の場合はどうしても、やっぱり女性が結婚相手として安心したい男性の給料、賃金というのがどうしても今のところあるんですよね。それは、女性の側が、やはり何かあったら辞めるのは私なんじゃないかとか、継続就業の可能性というのは本当に安定して、安心して期待できるものなのかという不安がやはりそこにあるということがあると思うんですよね。
やはり、ここを解消してあげる、つまり、働こうという意図があれば何とかフルタイムは続けていけるんだろうという見込みを若い人が持てるぐらいには働き方改革を進め、当然、育児休業も重要になってきますよね。そういった制度改革を組み合わせて、出発点として、例えば学卒後二十二歳とか三歳の若い人の気持ちになって、そういう人たちが十年後、十五年後に、ああ、自分は継続して働けることができているんだなという見込みが得られるかどうか、今のところ非常に不安な若い人が多いと思うんですよね。ここを解決してあげるというのが一つ。賃金率ももちろん大事なんですけど、結局その個人にとってはやっぱり世帯所得というのが大事になってきますよね。そういった意味では重要になってくるのかなと思います。
以上です。
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