○吉田とも代君 日本維新の会の吉田とも代です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
冒頭、四月三日に台湾東部を襲った大震災に関して、お亡くなりになられた方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。我々としても、被災地の復興の力となれるよう、今後、可能な限り力を尽くしてまいります。
それでは、質問に入ります。
公共放送の本質的な価値は、私たち国民に信頼できる情報を提供するところにあると考えます。私たちは、それを基に国内外の様々な出来事に対して正しい認識を持つことで、初めて、自由な意思の下で判断し、そして行動することができます。
インターネットが国民生活に深く浸透し、日常的に触れるメディアの一つとなったように、たとえ今後メディア環境が変わったとしても、さきに述べた公共放送の価値は変わらず、私たち国民が享受すべきものであると考えます。情報流通の環境が激変する中で、本改正案は公共放送の本質的な価値を今後も国民に提供し続けられるものとなっているか、この質疑でお尋ねいたします。
同時配信で受信料を徴収するに当たって、NHKは、アプリのダウンロードやIDの入力などを求めることとしています。同一の価値、同一の受益を前提として、放送設備の設置で受信料の徴収が可能となるテレビと扱いを等しくするための対応と思案しますが、民放各社が共同で出資するTVerでは、このような作業は不要です。デジタルネイティブ世代にとって、どちらが使い勝手がよいかは一目瞭然です。なぜこのような手続が必要となったのか、総務大臣の答弁を求めます。
また、手続の不透明性も問題となり得ます。オンラインサービスの解約プロセスが意図的に複雑化され、消費者が不本意な契約を継続させられることが世界的に問題となっています。本サービスも、簡便な方法で退会し、受信料の請求を止められなければなりません。本サービスは、アプリのダウンロードとIDの入力等をもって受信料の徴収を可能としていますが、逆に何をもって解約と判断するのか、総務大臣に具体的な回答を求めます。
本来、放送法が規定しているのは電波を使った送信であり、多数の人が同時に視聴し、テレビの使途はテレビ放送の受信に限られるものです。一方で、インターネットなどの通信に関しては、好きな人が好きなときにばらばらに視聴し、端末の使途はアプリによって自由に決めることができるなど、両者は性質が全く異なります。当然、一家に一台のテレビを前提としたNHKの受信料の徴収方法についても混乱が生じます。
現行の受信料制度を前提とし、法にNHKのインターネット事業の在り方を定めるのは、放送法の過度な複雑化を招き、今後、通信を活用した事業の足かせとなり得ると思われますが、総務大臣の見解を伺います。そもそも、放送法に定める受信料とは別建てで、インターネットでの受益の在り方に適した費用の徴収方法を新しく検討すべきとも思われますが、総務大臣の考えを伺います。
続いて、NHKのネットサービスの在り方についてお伺いします。
本改正では、NHKの必須業務に番組関連情報の配信を含めることとしていますが、その内容は、放送内容と密接な関連を有するもの、かつ、放送番組の編集上必要な資料に限るとしています。結果として、NHKは、政治マガジン、事件記者取材noteなど、六サイトの更新を先月二十九日に停止しました。
番組関連情報の内容を定める業務規程が満たす必要のある諸条件の一つに、公正な競争の確保に支障を生じないものとありますが、NHKが、先般、更新停止が発表されたこれらのサイトのために取材を行い公開することは、公正な競争の確保に支障を生じると考えますか。また、その理由は何か、総務大臣に伺います。
NHK幹部は、放送と同一の受益にかなうコンテンツを出す予定でいるので、ネットサービスの縮小にはならないなどと述べています。しかしながら、番組関連情報の内容は放送番組の編集上必要な資料に限られ、理解増進情報のように、ネットサービスでの使用を目的とした資料収集は不可能となります。このような縛りは、ネットサービスの縮小に直結するのではないでしょうか。総務大臣の考えを伺います。
総務大臣は、番組関連情報の内容を規定する業務規程に関して、検証会議等を設置し、学識経験者及び利害関係者の意見を聞くこととしていますが、利害関係者の中には、国民・視聴者と併せて競合事業者が含まれることとなっています。
意見聴取の対象に、なぜ競合事業者が入るのでしょうか。専門家、また受益者の立場として学識経験者や視聴者の意見を聴取しつつ、業務規程の適合可否を判断すべきことに異論はありません。一方で、競合事業者の意見を聴取することで、視聴者よりも競合事業者の意見を優先し、国民の知る権利に資するコンテンツ制作が阻害されるおそれはないでしょうか。この問題をどのように整理しているか、総務大臣に伺います。
新聞社各社で構成される団体は、総務省に設置されたデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会公共放送ワーキンググループが提示したインターネット活用業務を必須業務化する方向性に対し、メディアの多元性を脅かす抜け道になりかねないなどと舌鋒鋭く批判を繰り広げました。しかし、このような考え方は、受益者たる情報の受け手からすれば、情報の多元性を損なうこととなり、甚だ不都合であると考えます。
日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合では、質の高い情報発信源がNHKだけでなく民間にもしっかり確保される状態が望ましいとする議論があったと承知しています。業界全体が停滞する中、NHKが放送の枠にとらわれず、ウェブを活用した新たな発信形態を開発し、民放や新聞社各社がこれに追随することは、民間にも質の高い情報発信源を確保するとする目的に合致すると考えますが、総務大臣の所見を伺います。
ワーキンググループでは、メディアの多元性を確保するため、需給調整に基づく参入規制がなされ、そこから生じる超過利潤によって、中立な報道の維持など公共的役割を果たしてきたのが今までの我が国のメディアの在り方であったとする意見があったと承知しています。しかしながら、先述のとおり、我が国のテレビ視聴者、新聞購読者数は長期的に低迷しており、また、少子高齢化が進展する中、単にNHKの業務を制限することは、情報の受け手を増やすことにつながらず、メディアの多元性は長期的に毀損されると考えます。総務大臣の見解を伺います。
放送と通信が融合する時代にNHKが対応するためには、NHKの資産と役割、業務体制を不断に見直し、将来像を改めて描く必要があります。この点に関して、日本維新の会は、早くから問題意識を持ち、二年前に日本放送協会改革推進法案を提出しています。今回、政府から本法案が提出されましたが、我が党は、国民のために最もふさわしいNHKの在り方という観点から、個々の業務にとどまらず、NHK全体に抜本的な改革が必要だと考えています。
そこで、NHKの体制についてお伺いします。
NHKの持つコンテンツには、報道番組や教育番組のみならず、娯楽番組やドキュメンタリー等も含まれます。確かに、NHKの娯楽番組等は我が国の文化や思想の独自性や一体性を涵養する役割を果たしてきましたが、この役割は民放によっても同様に担われてきました。このようなコンテンツに関して、民放ではなくNHKが担うべきと考える理由を総務大臣に伺います。
一方で、今般の能登半島地震によって、地方の情報網としてのNHKの重要性が浮き彫りになりました。誤情報が出回る中、正確な情報を伝えるために尽力された姿はまさに被災地の命綱であり、これらの機能は我が国になくてはならないインフラであると言えます。このような機能は、国のインフラとして、全国民が負担を分かち合って維持するべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
しかしながら、NHKの受信料徴収率は、ほかの先進国と比べて低調と言わざるを得ません。イギリス、フランス、ドイツの公共放送では約九〇%を保ち、韓国では電気料金と併せて徴収することによって一〇〇%に近い徴収率を誇る一方で、令和六年度のNHKの支払い率は七八%を見込んでいます。この現状を踏まえ、NHKの規模適正化を前提として、国民に一律料金を賦課する制度を導入することも検討する必要があると思案しますが、総務大臣の考えを伺います。
NHKでは、国民が平等に支え合うべきインフラとしての機能と娯楽等の番組が、共に受信料制度により支えられています。しかし、インフラとしての機能を支えるのであれば、受信料制度は徴収率が低く、不平等です。また、視聴者の趣味、嗜好が多様化した中で、娯楽等に関するコンテンツに対して、視聴の有無にかかわらず重い受信料を課すのは不合理です。これらの機能は、組織上、分割する必要があると思慮しますが、総務大臣の見解を伺います。
最後に、国際的な視点から、公共放送の役割についてお尋ねします。
二〇〇〇年代以降にインターネットの普及が進み、有料動画配信市場の規模が急拡大した結果、我が国の放送業界は国際競争に巻き込まれつつあります。しかし、我が国の放送業界は、この競争で優位に立っているとは言えません。NHKの国内放送費が全体で約三千億円とされる一方、ネットフリックスでは独自コンテンツの制作費が約一・八兆円まで膨れ上がっています。
先日、漫画家の鳥山明氏がお亡くなりになられましたが、氏の作られた漫画が世界に与えた影響が改めて可視化されました。日本のコンテンツ産業は極めて高い競争力を持つ一方、我が国独自のプラットフォーマーを失うことはコンテンツ制作の能力にも悪影響を与えると思案します。アマゾンプライムビデオやネットフリックス等、海外のプラットフォーマーに有料動画配信市場のシェアの大半を奪われている状況を政府はどのように評価するか、また、我が国がこの市場で存在感を発揮するために、NHKにどのような貢献を求めるか、総務大臣に伺います。
国際放送のインターネット配信が必須業務となれば、日本国外の方がNHKの発信情報にアクセスしやすい環境が整備されるでしょう。しかしながら、NHKの国際放送コンテンツの視聴割合は、放送経由が九・九%、インターネット経由が一一・七%であるとするNHKの調査結果があります。より多くの外国の方々に対して我が国に対する正しい認識を養うという公共放送の役割を全うするためには海外からのアクセスを増やさなければならず、そのためにはコンテンツの強化が必須と考えますが、総務大臣の認識を伺います。
るる述べてきたとおり、我が国のメディアを復権させ、また、コンテンツの海外展開を進めるに当たって、NHKは一層の貢献が求められると思案します。放送業界だけではなく、マスメディア全体のリーダーとして、テレビや新聞といった形式にとらわれない新しい在り方を提示する役割を積極的に担い、競争を活性化する触媒となるとともに、自らが持つ機能と役割を見直し、改革によって国民の受信料負担を軽減すべきことを申し述べ、質問を終わります。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇〕
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