○佐藤公述人 よろしくお願いいたします。一橋の佐藤です。
ほかの三人の公述人の先生方とは違いまして、私はどちらかといいますと財政全般の話をさせていただければというふうに思います。もちろん、皆さんの御関心は少子化対策だと思いますので、そこにも絡めながらお話をさせていただければと思います。
二〇二五年に国と地方合わせてプライマリーバランスの黒字化ということを今目指しているわけでありまして、成長が実現すれば、かつ、これまでの歳出改革を続ければ、一応何とかなるんじゃないかというめどが立っているというのが最近の内閣府の試算でありますが、もちろん楽観は許さないということであります。そして、何よりも、二〇二五年度以降はどうするんだということになりまして、二〇二五年度に黒字化したからもういいだろうというわけにはいかないということになります。
ということを財政学者が言うと、だから、おまえ、増税したいんだろう、歳出カットしたいんだろうと言われるんですが、今日はその話はしないとします。
今重要なのは、財政再建の環境整備です。具体的に申し上げますと、経済、社会の基盤を強化するということであります。具体的にそれをどう進めていくかということにつきまして、今日は三点申し上げたいと思います。
その第一点、私の資料でいきますと二ページ目ですかね、本日申し上げたいこと、その一は、これは既に、昨年行われました経済財政諮問会議の特別セッションの中でも取り上げられたことでありますけれども、財政政策の軸をこれまでの需要の拡大から供給力の強化に転換するということであります。アメリカ風に言えば、モダン・サプライサイド・エコノミクスの考え方ということになるかと思います。
これは少子化対策にとっても重要でありまして、つまり、若い人たちの賃金を上げるためには生産性を上げるしかない、生産性を上げるためには供給力を強化するしかないということになります。
そしてまた、先ほど鈴木先生からも女性の労働参加というお話がありましたけれども、まさに、百三十万、百六万の壁を含めまして、そういった就労の障害を除くということが労働力の強化、拡充につながっていくということになるかと思います。
二つ目は、日本のセーフティーネットを再考しなければならないということです。
日本の社会保障制度というのは、これまでは世代間での助け合いが前提でした。つまり、若い人が働いて、彼らから取った保険料が主に高齢者の方々に回る、そういう世代間移転というのが大きな特徴だったわけであります。しかし、これからのセーフティーネットは、むしろ支え手、社会の支え手を支える仕組みが必要なのかと思います。
例えば、コロナにおいて最も経済的なダメージを受けたのは、平時においては社会の支え手であった例えば自営業の方、非正規雇用の方、フリーランスの方々ということになるわけであります。申し訳ありませんが、高齢者の方々は年金によって守られていました。
つまり、この国には守られていない人たちがいる。その多くは実は勤労者なんです。その勤労者の方々が、これから家族をつくっていく、これから子供を産んでいく世代です。つまり、彼らに光を当てないと、もちろんこの少子化問題というか人口減少の問題に取り組んでいくことはできないということになるかと思います。
と、簡単に言うんですが、これは実はかなり難しい。実は、日本のセーフティーネットを構築するためには、単に低所得者に対する給付を増やせばいいとか、そういう話にはならない。なぜならば、そもそも低所得者が誰かを捕捉できる仕組みがこの国にはないからということになるわけです。なので、これまでずっと非課税世帯というのを基準に使っていたわけなんですよね。
この辺を含めますと、実は私、日本のセーフティーネットを拡充するというのは、単に給付を増やすか減らすかとか、そういう話ではなくて、給付を行うための仕組みをつくっていくということが求められるのかと思います。
最後の三点目になりますけれども、こちらは、そうはいっても、人口減少というのはこれから進んでいくことになるわけであります。既に、社会保障・人口問題研究所の試算によっても、二〇七〇年の人口は今から見ても三割減ということは見込まれているわけであります。となると、人手不足がこれから深刻になってくる、これも先ほど鈴木先生から御指摘のあったとおりでありますが。じゃ、人手不足の中でどうするか。これは人を活用していくということであります。つまり、これが規制改革において求められている人の流動化であります。
この三点についてお話をした上で、じゃ、これからの財政再建はどうしたらいいかということについて、結論としてまとめさせていただければと思います。
では、早速ですけれども、三ページ目で、大きく景気対策と成長戦略と書いている、そこの項目を見ていただければいいんですけれども、これまで、もちろん、政府は様々な経済対策を行ってきたというのは事実でありますが、その経済対策の中身は、どちらかといいますと景気対策だったということであります。
もちろん、アベノミクスにおいても、第三の矢として成長戦略というのを掲げていました。ただ、ややもすると、経済政策は、入口は成長をうたいますけれども、出口は当面の景気対策ということがあった。その典型例が、やはり規模ありきの、例えば補正予算であったりするわけであります。
もちろん、デフレ社会において、そういう需要の底上げというのは必要です。しかし、中長期の成長を促そうというのであれば、やはりサプライサイドに対する働きかけが必要なんですね。これは、むしろ、成長促進と要するに景気対策は違うんだということです。
アメリカの経済対策なんかを見ていても、彼らがやはり念頭に置いているのは成長なんですね。雇用を増やすといっても、今だけじゃない、未来の雇用を増やすということも考えていく、やはりそういう中長期的な視点というのがあってしかるべきだろうということだと思います。
したがいまして、これからの財政政策においては、むしろ足下の景気対策から中長期の成長力の強化、こちらに転換していく必要があるのではないかということを申し上げたい。
じゃ、それを具体的にどうしたらいいかということで、六ページ目に飛んでいただきますと、やはり財政政策の量から質への転換というのが求められている。今まではやはり、申し訳ない、規模ありきということは、つまりお金を使えばよかった。でも、これから求められるのは、そこからどんな成果が上がってくるかということになるわけです。
もちろん昨今では、半導体の工場の誘致であるとか、様々な形で生産力の強化ということはうたわれてはいます。あるいは研究開発税制の拡充であるとか、オープンイノベーション税制とか、こういった形で日本の生産性の向上というのに対して政府は取り組んではきているんですが、大事なのは、そこに幾ら使ったかではなく、結果として何が生まれたのか。
実際、本当に労働生産性は増えたのか、経済学者の言葉を使うと、TFP、全要素生産性が高まったのかとか、そういったことが問われる。もちろん、GDP的に見れば、それが本当に日本の潜在成長率を上げるかどうか、実際の成長率じゃないですよ、中長期的な意味での潜在成長率を上げるかどうか、ここで評価していくということ、アウトカム評価というのを徹底していく。これを別の言葉を使うと、予算のワイズスペンディングということになるのかと思います。
さて、次の話題に行かせてください、時間も限られておりますので。支え手を支えるセーフティーネットであります。
九ページ目を見ていただきますと、格差の是正の方法というのは大きく三つあります。
一つは、いわゆるトリクルダウンです。つまり、経済が成長すれば、おのずと豊かになる企業や人がいる、彼らがお金を使えば、その恩恵は下々にまで及ぶという考え方であります。人によってはこれを新自由主義的と言う人もいるかもしれませんけれども、これが一つ目です。
ただ、これがなかなか、実際は二〇一〇年代を通して機能してこなかったのか、それは長らく続いた賃金の低迷として表れてくる。今ここに来てトレンドは変わり始めているので、全くトリクルダウンがないと言うつもりはないんですけれども、当初期待したほどでは、二〇一〇年代に関して言うと、なかなかなかったということだと思います。
もう一つ目は、よく言われますが、富裕層に課税をして、所得の低い方々に配ればいいじゃないかということになります。これはこれで、一つありきだとは思うんです。もちろん、アメリカなんかでも富裕層に対する課税というのはうたわれているわけでありますけれども、一部のリベラルな経済学者たちによって言われているわけですが、ただ、これをやるとどうしても成長に対してマイナスになる。経済学の言葉を使うと、どうしても、公平、つまり格差の是正と、効率、つまり成長促進との間にトレードオフが生じてしまうということになる、これは難しい政治判断が問われるということになってしまうわけであります。
ただ、もう一つここで考えたいのは、頑張る個人、つまり働いている人間を応援する仕組みです。つまり、これは、働いている人を応援しているわけですから、労働供給は阻害しません。もちろん、生産性を損なうということもない。そういう仕組みということ、支え手を支える、そういう考え方があっていいのではないかということです。
これは決して学者の机上の空論ではありませんで、世界的にはこれは普通にやっています。次のページを見ていただきますと、十ページですけれども、例えばアメリカで、これは有名です、あのアメリカでやっているわけですけれども、自由主義を標榜するアメリカでやっているわけですが、例えばアメリカの稼得所得税額控除という仕組みがあります。
これは、低所得の働いている人たちに対する給付です。おい、税額控除と書いているじゃないかと思うかもしれませんが、これは要するに、税制の枠の中で確定申告をやったときに所得の低い人たちに還付が行われる。そういう意味で、税額控除という構図になっていますが、制度的に見れば、これは一つの給付の仕組みだと思っていただいて結構です。ただ、その大きな特徴は、働いている人に対する支援だということです。似たような仕組みは、イギリスの例えばユニバーサルクレジットなんかもそうであります。こちらも、就労している、あるいは仕事を探していることを要件として給付を行う、所得の低い方々に対して給付を行うということになります。
日本にはこの仕組みがない。例えば公的年金は六十五歳以上になりますし、もちろん生活保護という仕組みはありますが、どちらかというと、生活保護というのは、高齢者の方、障害を持っている方、母子世帯の方、就労が元々困難な方々に対する困窮対策ということになるわけですね、防貧対策ということになるわけであります。ですので、やはりこれから求められるのは、支え手をどう支えていくのかということです。
そういう意味においては、昨今、先ほども議論になった社会保険料とか、こういったところはある種ちょっと注意しないと、支え手にとってみると重い負担になりかねないということは、これは留意すべきことだと思います。
じゃ、やればいいじゃんと思うかもしれませんが、今の日本ではこれはできません。できない理由は簡単で、所得が捕捉できていないんです。
でも、所得は、所得証明とかを自治体が出していますよねと思われるかもしれませんが、あれは前の年の所得なんですね。あれは、要するに、給与支払い報告書とか、そういったものを事業者が自治体に提出をして、自治体は、そういった情報に基づいて、誰が非課税世帯か、誰がどういう所得を持っているかを決めて、実際、あれで住民税なんかを取ったりしているわけなんですけれども、しかし、実際のところ問題なのは、所得がリアルに捕捉されていないというところであります。
なぜリアルに捕捉する、なぜ去年の所得が駄目で、なぜ今日の所得が必要かというと、まさに所得の低い方々、具体的にはフリーランスであるとか非正規雇用、あるいはギグワーカーと言われる方々は所得が不安定なんですね。なので、去年はそれなりの所得が、稼いでいても、例えばコロナがあったり、何か大きな経済的な災害があったりすると、急に所得が少なくなるわけであります。まさにこの所得が下がったところでの支援が必要なわけですので、まさにリアルタイムに所得を捕捉するという仕組みが必要。
日本の源泉徴収、所得の源泉徴収はこのために役に立たないんですね。あれは、それぞれに対して幾ら支払っているかという情報は出てこない。あれが出てくるのは最後の源泉徴収票のところなので、年末にならなきゃ出てこないわけです。
ですので、リアルタイムベースに所得を捕捉するという仕組みをつくっておくということは、ある種、こういう給付つき税額控除のようなセーフティーネットの構築には不可欠。それは机上の空論ではなく、これもイギリスでやっていることでありまして、イギリスではリアルタイム情報システムという形でやっております。それは十一ページで紹介しているとおりです。
時間も限られておりますので、最後、三つ目の話題に行かせてください。つまり、人手不足と規制改革というところであります。
そうはいっても、やはり人口はこれから減少していきます。特に、地方圏においては人口減少が著しいということになっております。そういう中において求められるのは、限られた人材の利活用ということになるわけです。
もちろん、少子化対策がうまくいって人口減少に歯止めがかかればそれにこしたことはない、もちろん、外国人労働者の方が日本に来て働いていただければそれにこしたことはないですけれども、それにこしたことがないに頼るのはやはり危険ということになります。
であれば、今いる人間たち、人たち、方々をどう最大限、活用すると言うと言葉は悪いですけれども、しかし、人間をいかに生かすかということが問われているんだと思います。
実際問題、これは十四ページにありますけれども、規制改革の枠の中で、まさに人手不足に対する対応というのがこれまでずっと議論されているわけでありまして、ライドシェアなんというのは、実はそれが元々の狙いだったはずなんですね。
つまり、タクシーの運転手の方々が少ない、特に地方圏において少ない。都市部においても、最近、私も経験しますが、なかなかタクシーがつかまらない、特に夜間とかになるとつかまらない。つまり、なかなか人が足りない、人手が足りない時間帯が都市圏にも存在しているということになるわけであります。
こういった問題について、タクシーのドライバーを増やせばいいじゃないかと言うかもしれませんけれども、元々労働人口が減っているわけですから、そこだけに人を充てるわけにはいかない。
先ほどお話があった、これも鈴木先生からお話がありましたけれども、人手不足は介護や医療の現場においても深刻であります。じゃ、お医者さんを増やせばいいじゃないか、看護職員、介護職員を増やせばいいじゃないかと言われますけれども、元々労働人口は少ないわけであります。
となってくると、やはりこの少ない人間たちをどう生かしていくかというときに、例えば、ふだんはドライバーでない方、ふだんはドライバーをやっていない方々に、そういう繁忙期であるとか、あるいは地方圏なんかにおいて運転をしてもらう、これが要するにライドシェアという考え方になるわけであります。
ライドシェアに限らず、次に掲げていますが、十五ページになりますが、医療や介護の現場における、例えばタスクシェアというのもその一つであります。
お医者さんは本当に忙しいんですね。その忙しいお医者さんを補助するのが、本来であれば看護師の方々であったり、場合によっては薬剤師の方々だったりするわけでありますが、しかし、今の職域は厳密に区分されています。お医者さんの指示なしに看護師さんが勝手なことはできないのが原則でありますし、例えば、薬剤師の方は、注射一本打つこともできません、薬を交換することもできません、在宅医療なんかの場合はですね。
お互いに今限られた領分、限られた自分たちの専門領域の中で連携を進めていますけれども、これでは限られた人材を十分に生かしたということにはならないわけであります。したがって、ある意味お互いの仕事を補う、こういう仕組みがタスクシェアという考え方になるわけですね。
具体的には、訪問看護ステーションにおける置き薬、つまり、本来は薬剤師の仕事を看護師がやる、あるいは逆に、在宅医療で薬の交換を本来やるのは看護師ですけれども、それを薬剤師の方がする。あるいは、あと、お医者さんの包括指示の下において死亡診断書を看護師が書くとか、こういった仕組みが本当はあっていい、こういうタスクシェアが本来あっていいんですけれども、これがなかなか難しいのが規制によるものということになります。
規制改革推進会議の方で、タスクシェア、タスクシフトに関する提案というのは、十六ページ目にまとめてあるとおりであります。
これは、何が最後に言いたいかというと、十七ページなんですけれども、要するに、やはり人をどう生かすかというときに、ある人間を特定の領域にとどめていてはいけないわけです。
看護師さんができることはたくさんあります。であれば、そういったところをやってもらえばいい。あるいは、ふだん別の仕事をしている人たちにも、例えば、空いている時間があったら、ライドシェア、ドライバーをやってもらえばいいということなんですよね。つまり、兼業です。それを人によっては副業と言うかもしれない。そういったものもあっていいし、もっと自分の職域を超えて仕事をしてもらう。例えば、介護施設なんかにおいても、介護施設の職員の方々に、もちろん安全性を担保した上でですけれども、医療的なことをやってもらう。これは、忙しいお医者さんにとってみても助けになります。あと、学校の先生もそうですよね。
なので、やはり人間が限られているわけでありますので、この辺り、人を生かすということは、その専門領域の壁を越えて、お互いに仕事をシェアし合うという、ある意味での新陳代謝的な、流動化といいますか新陳代謝といいますか、こういったことが今求められているんだろうということだとは思います。
さて、それを踏まえて、残り五分ですが、本当は今日一番言いたかったのは、財政健全化への道筋ということであります。
じゃ、どうするんだということですが、財政健全化には大きく三つの原則があると思います。十九ページ目に書いてありますが、まず一は、財政規律とは何かです。
財政規律というと、おまえ、緊縮財政だというふうに言われる方がいますが、別にそういうわけではありません。もちろん、コロナがあったり有事があるときには、財政は拡大させなければなりません。しかし、重要なことは、平時に戻ったら財政は平常化させるということであります。
つまり、これがコントロールです。つまり、財政というのは、その状況に応じて拡大させたり、場合によっては縮小させたりという、そのコントロールができるかどうかということになります。ややもすると、日本の財政は、アクセルはあるけれどもブレーキのない車のような、そういう状況になりかねないということであります。
また、先ほどから、今回話題の少子化対策でありますけれども、少子化対策というものが重要になってくるのであれば、それが優先順位が高い。言い方を変えると、優先順位の下がる支出項目もあるはずなんですね。つまり、予算に対して優先順位をつけて、それに応じて予算を配分する、これがワイズスペンディングということになります。もちろん、効果をちゃんと見極めた上でやるということは、それは先ほどから申し上げているとおりということになります。
なので、ある意味、マクロの規律づけが財政の規模のコントロール、ミクロの規律づけというのが要するにめり張りのある予算配分、ワイズスペンディングということになるかと思います。
二つ目ですけれども、やはり検証が必要です。無謬性を捨てた政策の効果検証です。
支援金も含めてになるかもしれませんけれども、あるいは、今回の少子化対策もそうなんですけれども、事前に分からないことはたくさんあります。なので、政策は失敗することがあります。それは別に、失敗するのがいけないんじゃなくて、失敗を直さないのがいけないんです。なので、ちゃんと検証する、PDCAサイクルを回すという仕組み、これは、本来、元々政策評価法もありますし、行政事業レビューという仕組みもあるわけですから、別に新しいことではない。ただ、それを徹底するかどうかということなんだというふうに考えます。
最後に、その三ですけれども、結局は、財源論は選択肢の問題だということであります。
支援金がいいか悪いかというのは、支援金がいいか悪いかじゃないんです。じゃ、何で財源確保をするかです。じゃ、支援金ですか、税ですか、ほかの保険料ですか、あるいは給付をやめますかです。つまり選択です、これは。なので、もちろん、先ほど高久先生からお話のあった、自己負担を引き上げて、そこから財源を捻出するのも一つの考え方かもしれません。
ですので、要は、財源論というのは、一つ一つ、支援金はどうですか、消費税はどうですかというふうに一個一個取り上げるのではなく、パッケージとして考える、じゃ、どれにしますかという。そういうパッケージとして選択肢を見せていくということが問われるのかなというふうに思います。
大体、私の報告の時間は以上となりましたので、ここまでぐらいにした方がいいかな。あと三分ありますか、二分。大丈夫ですか。私、早口なので、もうちょっと言えますね。
最後に一つだけ、これはただの情報提供なんですけれども、実は、私、東京財団政策研究所でアンケート調査をいろいろ幾つかやっていて、後ろに紹介しているんですけれども、国民の間でどうして財政再建について伝わらないんだろうということを調べてみたんですね。それは経済学者の方を対象にしたのと、一般国民の方々、ネット調査ですけれども、対象にしたものがあります。
結果の細かいことは申し上げませんけれども、実は、分かったことが二つあるんですね。
一つは何かというと、国民も経済学者も、経済学者は当たり前なんですが、国民の方々も財政赤字は問題視しています。例えばMMTのように、財政赤字は問題じゃないという論者は実はほとんどいないんです、国民の中でも。つまり、国民自身は財政赤字に危機感を持っているというのはアンケート調査から分かります。
ただし、その財政赤字の原因は何かです。経済学者に聞くと、それは社会保障ですと教科書的に答えますし、多分これは正しいです。しかし、国民の多くの方々は、申し訳ありませんが、政治の無駄遣いというのと、なぜか、これはうそです、これは正しくないんだけれども、公務員の人件費が高いと答えちゃうんですね。
これは何を言っているかというと、自分たちの払っている税金、消費税も含めて、あるいは保険料も含めて、自分たちの払っている税金と自分たちが受け取っている受益が、多くの国民の方々の間で結びついていないんですね。払っている税金は年貢みたい、だから五公五民と言われちゃうわけです。他方、自分たちが受けている受益というのは、大体は自治体から提供されるので、国からもらっているわけじゃないということもあるんですけれども、何かただ飯みたいな感じになってしまっていて、自分たちの税金、社会保障というのがある種自分たちの負担とリンクしているというその感覚がない。だから、財政赤字が、社会保障という自分たちの受益ではなく、政治の無駄遣いになってしまうということです。
もちろん、政治に無駄遣いはあります。済みません。だけれども、金額的に考えて、それが日本の財政を揺るがすほどの規模ではないということは言えます。もちろん、無駄は駄目です。なので、行政事業レビューとかで無駄を切るのはいいことです。
ですけれども、やはり社会保障が財政赤字の原因になっている、つまり、財政赤字というのは国民から見れば自分事であるということがなかなか伝わっていないんだなということが今回のアンケート調査でもよく分かったということです。実は、これはこの間もう一回やったんですけれども、やはり結果は変わらなかったので、なかなかこの認識は根強いのかなということであります。この辺りも解きほぐしていくということが必要かとは思いました。
私の話は以上です。ありがとうございました。(拍手)
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